医薬

医薬品クライシス―78兆円市場の激震 (新潮新書)

医薬品クライシス―78兆円市場の激震 (新潮新書)


 医薬品業界、すなわち製薬会社の研究、開発の現状と、技術動向が (詳しくないので多分ですが) ざっくりと記述されているのですが、全体として、「薬」と言うものの不完全さを理論的に説明しつつ、薬を服用する人々は、その不完全さを認識し、理解しなければいけませんよ、と啓蒙されているような感じの読後感です。
 薬は不完全であるがゆえに、服用にはリスクが伴う。製薬会社は厳しい検査を通して、そのリスクを可能な限り軽減しているが、リスクの完全排除は不可能である。そのため、リスクを理解し、そのうえで服用の効能による未来の可能性を考慮しなければいけない。そのような中、近年、抗体医薬の売り上げが増加している。抗体医薬は従来の医薬品である飲み薬などと異なり、注射や点滴で投与する必要がある。しかし、その効能は通常の医薬品と比較して絶大であり、安全性も高い。しかし、その抗体医薬にもデメリットはある。それは…と、言う具合に全部書くわけにはいかないのでこのあたりで。
 医薬業界の専門家が読んでもあまり面白くないのかもしれませんが、医薬業界の外側に身を置く人々が読むと、非常に興味深く読めると思います。かく言う自分は、本書を通して製薬会社勤務の身内の事を、今までよりもちょっと深く理解できた気がしました。製薬会社って、安定してそうな印象があったけど、大変なんだな〜